AYTURKのオヤ作り日記

トルコのカッパドキアでオヤのデザインを手掛けています。その日々の奮闘と完成までの道のりを、恥ずかしながらご紹介。※2020年7月よりnoteに引っ越しました。https://note.com/ayturk

7日間ブックカバーチャレンジ DAY7/オヤ

 

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#7日間ブックカバーチャレンジ

DAY7は・・・シナン

今日は最終日、
まず最初に、
こうして本に関して改めて考える時間を、
文章を書く機会をくれた友人に感謝を贈ります。


7日目に選んだのは夢枕獏さんのシナン
そうです、舞台はトルコ
お気づきでしたかね、このチャレンジで選んだ本のポイントは・・・「世界」
アジアあり、ヨーロッパあり、私が人生で影響を受けた国の数々。
最終日に選ぶのは、やっぱりトルコです。

このシナンは、実在の人物の歴史もの。
夢枕獏さんの作品では陰陽師好きで読んでましたけど、歴史ものを書かれるとは思っていませんでした。

シナン・・・ミマール・シナンは建築家として、
トルコでは知らない人はいないくらい有名な人物です。
シナンの作りだしたモスクは、数多くトルコに現存しています。

活躍したのはオットマン帝国時代
生まれはこのカッパドキアからほど近い村だとされています。

オットマン時代トルコの文化や歴史を知るにも、参考になる本です。
私が最初に手にしたのは、添乗員時代。世界の歴史や情報を広く知っている必要があり、読み始めたもの。
シナンの一生が書かれた本ですから、もちろん長い!
日本人にはなじみの薄いイスラム文化だし、長編・歴史ものではありますが、
ファンタジーを読んでるかのようでした。


トルコに来るなら、読んでおくべき1冊です。
シナンを知っている!とトルコ人に話すだけでも、
「よく知っているねー」と感心されます(笑)


オットマン帝国の時代は、トルコの文化が花開く時代。
イスラム建築の技を結集して作られるモスクや宮殿・・・
トルコが贅沢を極めた、良き時代です。

AYTURKが手掛けるオヤも、この時代に作られ始めます。
宮殿のハーレムでは、女性たちが自分のスカーフなどを飾るために、オヤレースを作り始めたのだそうです。
宮殿の文化が一般にも伝わり、現代まで続いているのが「オヤ」です。

スカーフの縁を飾る装飾は、
カギ編み、シャトル編み、ピン編み、針編み・・・作りのバリエーションも豊富に、トルコ各地に広がります。

母から娘へ技を伝え、人生の大切な時のために作るオヤ
それぞれのモチーフにも意味が込められています。
例えば、薔薇は「薔薇色の幸せな人生」を願ったモチーフです。

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クラシック・ローズとしてご紹介しているのは、
昔ながらの薔薇のモチーフを使ったもの

トゥーオヤ - AYTURK/アイトゥルク




数あるオヤのバリエーションの中でも
究極のオヤとされる、針で編むいイーネオヤは、宮殿のハーレムで生み出されたとされています。イーネオヤは細かさもそうですが、立体作りのレースは、トルコならではの技です。

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シフォン - AYTURK/アイトゥルク


オットマン時代にトルコ各地に広がったオヤも、
現在では作れる人が少なくなっています。
細かいレース編みだけに、簡単に受け継げるわけではありませんし、
現代では女性も活躍の場を広げ、オヤ作りを学ぶ時間も無くなっているのかもしれません。

時代が変われば、文化も変わる。求められるものが変わるのは、あたりまえ。
だからこそ、オヤも進化が必要だと思っています。

現代の日々のファッションに取り入れやすい、デザインや形。
それを提案していくのがAYTURKのお仕事だと思います。

かっこいいことを書きましたが、ともかく一歩一歩進むだけ。
デザインを考え形にしていく・・・継続して初めて、オヤを守ることもできるんでしょうね。


7日間ブックカバーチャレンジ、これにて終了です!
お付き合いいただき、ありがとうございました。